「世界大戦争」


「世界大戦争」

製作:藤本 真澄/田中 友幸

監督:松林 宗恵

特技監督:円谷 英二

出演:フランキー堺/宝田 明/星 由里子/乙羽 信子/白川 由美/笠智 衆/ジェリー伊藤/東野 英治郎/山村 聡/上原 謙/他

1961年製作・公開

東宝映画

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世界の終末戦争を描いた日本の映画作品です。円谷英二氏のファンであれば、弾道弾ミサイル基地や核爆発のリアリティある特撮として、かなり有名なのではないかと思います。特にラストの核兵器による世界各都市の破壊シーンは圧巻です。

しかし、実際に映画を観てみると、プレスクラブの運転手・田村茂吉(フランキー堺)を中心とした、庶民の生活が中心の人間ドラマが展開されています。監督が、特撮を使いながらも、人間の心、人間の愛を大切に表現していることが強く感じられます。

戦後の混乱期から裸一貫でがんばってきた茂吉と妻のお由(乙羽信子)。茂吉の娘・冴子(星由里子)と婚約者で貨物船の通信技師・高野(宝田明)。貨物船のコック長・長江原(笠智衆)と娘で保育士の早苗(白川由美)。そこには、ごくありきたりな昭和30年代の庶民の生活が描かれています。

第二次世界大戦が終結してから十数年経過し、都市はすっかり復興しました。しかし、庶民の生活は、まだまだ貧しいものでした。その一端が保育園の場面の中にも見ることができます。子どもを預けて住み込みで働きに出る母親。寂しいのをじっとがまんする子どもの目… 貧しいながらにも、その中には幸せがあった時代ではないかと思います。

同時に世界情勢は緊迫し、連邦国側と同盟国側が対立を深めます(この設定がアメリカの西側とソビエトの東側を表しているのですが、いまひとつリアリティに欠けている面があり、この作品の弱いところかもしれません)。

世界平和を希求する日本政府は、首相(山村 聡)を中心に、懸命な外交努力を続けます。

しかし、その願いもむなしく、核ミサイルの最終ボタンは押されてしまいます…

核爆発の洗礼を受けるニューヨーク、ロンドン、パリ、モスクワ、そして東京…

この映画が製作された1961年は、東西冷戦の緊迫した情勢が続き、核兵器の軍拡競争は加速し、いつ世界が破滅してもおかしくない時代でした。それだけに、人々の生活が一瞬にして破壊されてしまう映像が、とても衝撃的でした。

私たちの気持ちは今でも変わりありません。

戦争によって、何もかもが破壊されてしまうのであれば、そうならないような努力が必要なのです。この映画の中で日本は連邦国側に所属していたために、東京が核攻撃にさらされました。集団的自衛権の行使は、このようなリスクも背負うことになるのです。

相手が軍備を拡大するから、こちらもそれに対抗する軍備を持つ。―この思考から脱出することが、今いちばん必要なのではないでしょうか。昨今の北朝鮮の核配備問題に対する政治家の見解を聞くと、軍備増強の理由づけになり、ずるずると戦争への道を進んで行くような気がします。

平和な世界を構築する使命を持つ国が日本であるならば、この映画をぜひ観てほしいと思います。そして、一緒に考えてほしいです。

何をすべきなのか…

何をやめるべきなのか…

平和を求め、愛することを…

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「633爆撃隊」

「633爆撃隊」

監督:ウォルター・E・グローマン
製作:セシル・F・フォード

出演:クリフ・ロバートソン/ジョージ・チャキリス/マリア・バーシィ 他

1963年製作・公開

アメリカ映画
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ベトナム戦争終結までは、このような戦争映画が数多く製作されました。
ストーリーはフィクションですが、実際の第二次世界大戦でイギリスの爆撃機として活躍した「モスキート」が登場します。633爆撃隊とは、モスキートによる爆撃部隊のひとつです。
633爆撃隊は、連合軍によるノルマンディー上陸作戦を前に、ノルウェーにあるドイツ軍の兵器用燃料工場の爆撃する命令を受けます。隊長のグランド中佐を中心に、英連邦のさまざまな国の隊員が集まった633爆撃隊は日夜爆撃訓練に励みます。そして、ついに難攻不落の工場に向かって爆撃を開始します…
ドイツ軍の工場はノルウェー独特の入り組んだ海岸地帯の奥、高い崖下にあるため、直接の爆撃ができません。そのため、特殊な爆弾で崖を爆撃して工場を落石で破壊しようとします。
過酷な訓練の連続、モスキートの機動力、そして爆撃…
戦争映画、特に航空機ものが好きな人にとってはたまらない作品だと思います。私も子どもの時に初めて観て、「カッコイイ」「すごい」「爆撃機に乗りたい」と軍国少年のように感激した記憶があります。
この映画でも、ドイツ軍はあくまでも徹底的な悪役です。連合軍のイギリスは正義の象徴であり、ノルウェーのレジスタンス(あまりにもフランス調なのが気になりますが…)は平和の戦士として描かれています。
ドイツ軍に捕らえられたレジスタンスの同志の口を封じるために、グラント中佐が収容所を爆撃するシーンがありますが、それも戦争に勝つための手段として必要なんだ、という説得力があります。ただ、その任務のためにグランド中佐は深く傷ついてしまいます。同志の妹とのロマンスも自らの意思で破局してしまいます。また、隊員のひとりと結婚した女性がラストで毅然とした態度でいる姿も、戦争の悲惨さを感じさせます。
爆撃直前に、ドイツ軍の対空砲火陣地をたたく作戦が失敗してしまいます。633爆撃隊は、対空砲火をあえて受ける覚悟で戦場へ突入していきます。ここに戦争映画のひとつの醍醐味があります。「男がここで逃げてたまるか」精神で、作戦を遂行する「かっこよさ」が、観る人を引きつけます。
戦争とはこのようなものでしょうか?…
「男だったら、自分を犠牲にしても、愛する人や家族をまもるんだ」という気持ちは、私もよくわかります。実際、1980年代にソ連が北海道に攻めて来るのではないか、ということが真剣に論じられた時代がありました。その頃、私は一時期本当に自衛隊に志願しようかと思ったこともありました。
しかし、それでいいのでしょうか…
ひとつだけ事実として言えることは、戦争がいったん始まってしまえば、「敵軍から市民を守るために」という大建前のもと、人々は次々と戦場へ駆り立てられるのです。好きだ嫌いだという前に、銃を持たなければならない状況になります。
いろいろな経験を積んできたためか、30年ぶりに観た「633爆撃隊」は、ただカッコイイだけでは済まない気持ちにさせられました。

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