「わが青春のアルカディア」

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「わが青春のアルカディア」

原作・構成・企画:松本 零士

製作総指揮:今田 智憲

監督:勝間田 具治

作画監督:小松原 一男

製作協力:東映動画

メカニックデザイン:板橋 克己

アルカディア号デザイン協力:スタジオぬえ

キャスト

ファントム・F・ハーロックⅡ、キャプテンハーロック:井上 真樹夫

大山敏郎、大山トチロー:富山 敬

マーヤ:武藤 礼子

クイーン・エメラルダス:田島 令子

池田 秀一、山本 百合子、石田 太郎、青野 武、高木 均、森山 周一郎、他。

特別ゲスト ファントム・F・ハーロックⅠ:石原 裕次郎

1982年製作・公開

東映映画

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漫画家である松本零士氏の作品で、代表的なキャラクターである「キャプテン・ハーロック」の若き日の物語です。大山トチロー、クイーン・エメラルダスとの運命的な出会い。そしてハーロックが生涯愛した、ただひとりの女性マーヤとの別れ。ハーロックの先祖であるファントム・F・ハーロックのエピソードなどが描かれています。

キャプテンハーロックが海賊として大宇宙へとび出す話は、当時としては少しかっこよすぎて、若者たちには受け入れられなかったかもしれません。興行的にも振るわず、映画公開に続いてテレビ放映された「わが青春のアルカディア 無限軌道SSX」も視聴率は低かったようです。

いまあらためて観ると、巨大な宇宙戦艦アルカディア号の動きがあまりにもぎこちなく、当時のセル・アニメの技術の限界が見えてきます。今のようにCGを使えば、もっとダイナミックな映像が提供できたことでしょう。

アニメーションは当時子どもや若い人たちの大きな支持を受けていました。しかし、一部の作品を除いては、人間の心の内側を描写する「技術」が未熟だったことがわかります。これは、俳優であれば演技にあたる、顔の表情や身体の動きの表現が、アニメーションではかなり難しかったことと察します。

それをカバーするのが声優の演技でした。クイーン・エメラルダスを演じた田島礼子さんの声は、まさしく「女海賊」そのもので、迫力がありました。

若い頃に観て、非常に感動した映画の一本です。いまあらためて観ると、ややご都合主義すぎる場面が多いのですが、松本ファンであれば、それもまた楽しいものだと思います。

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「アタゴオル・2」

「アタゴオル・2」

「アタゴオル」(文庫コミック版・第2巻)

ますむら・ひろし 作

1999年11月

発行・メディアファクトリー

第2巻では「汗っかきかきかき氷」という作品が好きです。

ヒョウタン森にある「カツラかき氷屋」はちょっと変わったお店です。

不思議なお店が次々と出て来て、そちらの世界へ行きたくなってしまいますね。

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「アタゴオル・1」

「アタゴオル・1」

「アタゴオル」(文庫コミック版・第1巻)

ますむら・ひろし 作

1999年11月

発行・メディアファクトリー

ますむら氏の作品は宮澤賢治の童話を漫画にしたものを始め、猫を主人公にした漫画で知られています。

私も、最初は少し違和感を感じましたが、気がつくとその世界に引き込まれてしまいました。

「アタゴオル」は、ますむら氏の作品の原点とも言えるでしょう。

第1巻では「唐あげ床屋」の話がいちばん楽しかったです。このような不思議な話を無理なく楽しめるのがいいですね。

漫画が嫌いでなければ、あまり肩を張らずに読めるファンタジーとしておすすめです。

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「地球へ…」(テラへ…)

「地球へ…」(テラへ…)

「地球へ…」(テラへ…)

竹宮 恵子 作

1995年1月

中公文庫コミック版

この作品は、1977年に「月刊マンガ少年」に連載されたもので、今年で30周年ということになります。

西暦3000年代、地球の環境は著しく荒廃し、人類は地球を破棄して、遠くスペース・コロニーに移住します。恒星間航行(ワープ航法)が行なわれ、人類は銀河系を制覇します。そして「人類は完璧に平等に地球を失った」状態下で、ユニバーサル・コントロールが特殊政府体制という生命管理を完全に行なう社会体制を作り出します。堕落、腐敗する一方の人類社会を救うために作られたこの統治体制とは、大人社会と子ども育成社会とを切り離した政治体制で、子どもは婚姻ではなくコンピューター・コントロールによって人工的に作られ、「アタラクシア」という名の幼年育英都市で保父・保母によって育てられます。14歳になった誕生日に成人検査を受け、選別されて、合格した優秀な子はさらに高等教育を受けて、エリートとして重要なポストに配属されます。そして残りは一般の市民社会を構成されます。仕事もすべてコンピューターによって適正とされたものにつくことが義務づけられています―このような壮大壮絶な設定の未来社会が舞台です。

ストーリーは統制下の人類と、少数ながら異種として誕生した「ミュウ」―新人類との戦いを描いています。(この作品が初めてかどうかはわかりませんが、機動戦士ガンダムに登場する新人類「ニュータイプ」などの設定は、すでにあったわけです)

純粋培養のような教育、優秀かそうでないかを選別する検査、ダメなものは抹殺していくという徹底したエリート・メンバー育成の管理統制社会。そしてそれを外圧から守る防衛軍。この体制を維持していくには、違反者や不穏分子、不適格者を差別し、除外していく監視弾圧社会へと化していきます。

検査から脱落した者たちは、身体の不自由さや障碍を乗り越えて、迫害・抹殺から身を守るためにエスパーへと進化して行きます。これが新人類「ミュウ」なのです。ミュウたちはテレパシーによって人類に呼びかけ、忘れてしまった遠い人類の記憶を呼び覚まし、管理体制からの脱却を呼びかけます。遺伝子操作による誕生、画一化された教育、人間の選別、自己主張するものに対する批判、同じ顔をしていないと気がすまない同規格品化、弱い者に対する差別と迫害…

ミュウとして生きる少年たちの目覚めと苦悩と葛藤と、その生と死とは、こういう状況から生まれています。そしてまだ見ぬ故郷・地球(テラ―ラテン語)への道を歩み始めます。

何世紀にもわたる壮大な物語は、今あらためて読み返しても新鮮なメッセージを私たちに投げかけてくれます。

現実の地球は、環境破壊が進み、遠からず人類の生存は脅かされるときが来るでしょう。また身近では、社会をより良くするために、思想や社会体制を上に立つ一握りの人々によって統制管理する方向にゆっくりと歩み始めています。その危険な道に多くの人は気がつかず、安楽のまま偽りの平和を求めています。しかも、本当に危機となる事態は何世代も後に来ることが、今の私たちには実感がなく、責任を取ろうともしないことが、大きな問題なのではないでしょうか。

「地球へ…」は、連載後、アニメーション映画として公開されました。たかがマンガかもしれませんが、21世紀に生きる私たちへの警鐘のメッセージかもしれません。

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アドルフに告ぐ

アドルフに告ぐ

アドルフに告ぐ

「アドルフに告ぐ」

作 手塚 治虫

 「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」など、数多くの作品で有名な漫画家・手塚治虫氏による大河漫画です。3人のアドルフ(その1人はナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラー)の数奇な運命を描いたものです。第二次世界大戦という激動の時代を背景に、日本、ドイツを舞台にしたドラマで、当時の時代考証もしっかりしています。娯楽というよりは、歴史を学ぶ上でも、貴重な作品です。

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Papa told me

Papa told me  Papa told me

「Papa told me」

榛野 なな恵 作

集英社 YOUNG YOU

 小学生の的場千世(ちせ)ちゃんと、父親・信吉さんの物語。お母さん(千草さん)はお空の星になってしまったけど、二人はとても愛し合っていて、明るく楽しく毎日を生きていきます。父と娘の関係に悩んでいる私には、なつかしく、うらやましいくらいに思います。

 基本的には千世ちゃんを中心にストーリーは進みます。でもそれだけではなく、千世ちゃんの友だち、信吉さん、信吉さんの妹・百合子さん、出版社の北原さん、元区長さん、近隣の住人などなど… さまざまな人間関係とその物語・人生模様が展開されます。

 大人の女性向けに描かれたマンガなので、気軽に読めて、しかもとても読み応えがあります。

 新進気鋭の人気作家で家事全般をこなし、しかもハンサム、という信吉さんのキャラクターはちょっと出来すぎですが、コミックにはありがちなこととしておきましょう。自宅で仕事をしながら日々の生活を送るなんて、私のあこがれですね。

 私立の小学校に通う千世ちゃんは、想像力が無限大に豊かで、ちょっと背伸びしたところもある女の子ですが、こんな娘がいたらいいなぁ、というくらい素直で明るい少女です。友だちから慕われ、学校では新聞部で大活躍します。

 千世ちゃんの友だちも、さまざまな個性を持った子が登場します。両親の離婚に振り回される子、お父さんがゲイになってしまった子、経済的には豊かでも愛情が枯渇した家庭の子など、ここでもさまざまな物語があります。

 私は信吉さんの妹、バリバリのキャリア・ウーマンである百合子さんに惹かれてしまいます。仕事に全力投球をしつつ、それでも時には自分の人生を考え、立ち止まり、ふりかえり、悩むところは、現代女性の姿の一端をあらわしているのではないでしょうか。

 私は全刊を読んでいません。セレクト集や完全版(いずれも集英社刊)しか読んでいませんが、ぜひオススメのコミックです。

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ニッポン幸福哀歌

ニッポン幸福哀歌

「水木しげるのニッポン幸福哀歌(エレジー)」
水木しげる 著
角川文庫 2006年

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ピエタ

「ピエタ」(ⅠⅡ)

榛野 なな恵 作

ヤングユーコミックス 集英社 2000年

ピエタ

 「ピエタ」とは、イタリア語で「敬虔な心」「慈悲心」という意味です。聖母マリアがキリストの死体を膝に抱いて嘆いている姿を表す絵画、または彫刻を「ピエタ」とも言います(広辞苑より抜粋)。

 不登校、虐待、いじめ、リストカット、自殺… このマンガには現代社会の子どもたちが直面するキーワードがいくつも出てきます。家族という最小社会の中で生きることができない二人の少女が出会い、そしてさまざまな試練の後に、共生の道を歩み始める、という話です。

 けっして問題児ではなく、むしろ優等生に近い少女たちが、本来安らぎの空間であるはずの家族の中では生きる場所を見つけられなかった、ということはマンガの世界だけではなく、現実にもある事象ではないでしょうか。

 子どもを拒否する親、友情に危うさを感じる少女、ごく普通に存在することに、この社会への不安を感じます。そして、少女を救おうとするカウンセラーの力の限界。心理学が、まだまだいかに無力なのかをこのマンガは示唆しています。

 そして、少女たちの生きる力に最後の望みがたくされ、ストーリーは終わります。決して未来が明るいわけではなく、確固たる幸せが約束されたわけでもありません。しかし、少女たちの若い生命力がすべての壁を乗り越えていく可能性と希望をこのマンガは描いています。

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風の谷のナウシカ

「風の谷のナウシカ 宮崎 駿 水彩画集」

徳間書店・スタジオジブリ 1996年

風の谷のナウシカ

「風の谷のナウシカ」は、もはや伝説のアニメになっているような気がします。原作のコミックを読んでみると、そのファンタジーの奥深さを知ることができます。

 この画集は、雑誌「アニメージュ」の表紙、原作コミック用のイラスト、映画用イメージボードなど、約330点の水彩画が集められています。ナウシカのもうひとつの世界を観るような感じがします。

 宮崎駿氏の作品のコンセプトは「少女」です。女の子が主人公でなかった映画作品は「紅の豚」くらいでしょうか。ナウシカの力強さ、明るさ、やさしさ、そして愛らしさが、ひとつひとつの水彩画によって語られています。

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夕凪の街 桜の国

「夕凪の街 桜の国」

こうの史代 作

双葉社 2004年

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 たった一発の原子爆弾は、十数万の人の生命を一瞬のうちに奪い去り、街を焼き尽くし、地球の上に地獄を造りだしました。わずか61年前のことです。

 そして、生き残った人々も、傷跡に苦しみ、後遺症に苦しみ、差別や偏見に耐えなければなりませんでした。かつて、ある議員が議会の場で「被爆者は断種すべきだ」と堂々と発言したり、原爆病院を慰問に訪れた著名人が決して被爆者に触れようとしなかったなど、ヒバクシャを社会から隔離・分離しようとする動きはごく普通のことのかのように事実としてありました。

「夕凪の街 桜の国」は、「夕凪の街」「桜の国(一)」「桜の国(二)」の三篇からなります。

「夕凪の街」は原爆投下後から10年が経過した1955年の広島の町が舞台です。「桜の国(一)」は1987年、「桜の国(二)」は2004年の東京が舞台です。被爆後もかろうじて生き残った人々と、その子どもたちの苦しみ、不安、愛を描いています。根強く残る社会からの差別に、ぶつけるところがない悲しみを抱えながら、必死に生きる人の姿が描かれています。

 何事もなく元気で生活していたある日、突然発症する原爆症の恐ろしさ。祖母が被爆者というだけで相手の親から結婚を断られる辛さ。そして、言いようのない不安の日々…

 このコミックを読むと、私たちは戦争のことを原爆のことをあまりにも知らなさ過ぎていることに気がつきます。知らないことから差別や偏見が生まれます。差別を恐れて多くを語らないまま亡くなった被爆者も大勢いたことでしょう。

 私たちは、いまどうすればいいのか。まず知ることから始めなければなりません。ぜひ多くの方に読んでほしいと思います。時代背景や当時の世相など、十分な考証と丹念に絵を描いている作者に心から敬服いたします。

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卒業式

「卒業式」

榛野 なな恵 作

集英社 YOUNG YOU 1994年

クイーンズコミックス

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 卒業式のシーズンですね。

 少女・女性向けのコミックは、あまり読む機会はないので、比較という意味でのコメントは出来ませんが、榛野なな恵さんの漫画は、とても好きです。

 いくつかの作品の中で、短編では「卒業式」が特に好きです。榛野なな恵さんの作品には、大人の醜い世界や、世の中の習慣や流れというものに妥協してしまう人に対して、精一杯抵抗する思春期の少女や男の子が主人公となるものが多く見られます。

 この「卒業式」では、中学校一の秀才の少女が、悪徳教師の不正を何とかして暴こうとする過程が描かれています。常識的には抵抗すること自体無駄なことに思えるようなことに、少女は自分自身の存在をかけて立ち向かいます。そして、少女は、ある決意を持って卒業式にのぞみます。

 少女マンガと言えば、愛だの恋だの、と思い込んでいた私にとっては、とてもショックを受けた作品でした。下手な文学作品よりも、よほど読者の心臓を打ち抜くほどのインパクトを受けるくらい、衝撃的な作品です。ぜひ、一読をお薦めします。

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