ピエタ
「ピエタ」(ⅠⅡ)
榛野 なな恵 作
ヤングユーコミックス 集英社 2000年

「ピエタ」とは、イタリア語で「敬虔な心」「慈悲心」という意味です。聖母マリアがキリストの死体を膝に抱いて嘆いている姿を表す絵画、または彫刻を「ピエタ」とも言います(広辞苑より抜粋)。
不登校、虐待、いじめ、リストカット、自殺… このマンガには現代社会の子どもたちが直面するキーワードがいくつも出てきます。家族という最小社会の中で生きることができない二人の少女が出会い、そしてさまざまな試練の後に、共生の道を歩み始める、という話です。
けっして問題児ではなく、むしろ優等生に近い少女たちが、本来安らぎの空間であるはずの家族の中では生きる場所を見つけられなかった、ということはマンガの世界だけではなく、現実にもある事象ではないでしょうか。
子どもを拒否する親、友情に危うさを感じる少女、ごく普通に存在することに、この社会への不安を感じます。そして、少女を救おうとするカウンセラーの力の限界。心理学が、まだまだいかに無力なのかをこのマンガは示唆しています。
そして、少女たちの生きる力に最後の望みがたくされ、ストーリーは終わります。決して未来が明るいわけではなく、確固たる幸せが約束されたわけでもありません。しかし、少女たちの若い生命力がすべての壁を乗り越えていく可能性と希望をこのマンガは描いています。
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