「平和への夢」―自爆攻撃にまきこまれた少女の日記
「平和への夢」出版委員会 著
PHP研究所2006年

1996年3月4日、イスラエルの少女バット・ヘン シャハクは、15歳の誕生日に自爆攻撃に巻き込まれて亡くなりました。
自爆したのはパレスチナの青年で、身体に爆弾をまきつけ、イスラエル・テルアビブの繁華街で爆発されました。
バット・ヘンは他の三人の友だちと遊びに来ていていました。四人のうち三人は即死でした。
この本は、生前のバット・ヘンが書き残した、数々の平和への願いの詩を紹介しています。また、「和平へのイスラエル・パレスチナ遺族の会(イスパの会)」についても取材しています。イスパの会は、ユダヤ人とアラブ人が手をつなぐ数少ない団体のひとつです。
平和を水や空気と同じようにしか意識できない現代の日本人からは、想像できない世界が、イスラエルやパレスチナの地でしょう。イラクも同じような状況です。ほぼ毎日、どこかでテロによる自爆攻撃が行なわれ、一般の市民が多数死傷しています。人々がどんなに平和を願っても、なかなか良い方向へとは向かわないのが現実です。
15歳で亡くなったバット・ヘンの詩を読むと、平和への強い欲望が感じられます。生まれるずっと前から、イスラエルは常に戦乱に揺れていました。私は以前にこのブログでイスラエルのキブツがパレスチナ人を追い出して作られた侵略的な村であることを書きました。しかし、イスラエルの一般市民が悪いということは言えません。
私たちは自国の中での平和な日々に安住して、平和について考えることがあまりありません。平和は当たり前のこととなっているのです。識者の中には、日本の平和は世界に誇るべきだ、と言う人もいます。しかし、本当にそれでいいのでしょうか? 他国が争い、市民が傷つき倒れている状況がある中で、日本だけが「我々は平和な国家を築いている」と主張するのは、なんとも虚しい思いがします。
この本はルビがふってあるので、小中学生にも読むことができます。ぜひとも、若い子どもたちに読んで、平和を考えてほしいと思います。
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「平和への夢」 バット・ヘン シャハク
人にはそれぞれ夢がある
ある人は大金持ちになること
またある人は作家になること
わたしにも夢がある―
この世が平和になること
みんなが、いつ平和がおとずれるのか知りたいし、
だれでも、それが夢で終わらないと信じたい。
でも、時々わたしたちはあきらめてこう思う。
―左派と右派、アラブ人とユダヤ人、
それぞれがパートナーとなり、
みんなが友だちとなって、憎しみと戦争がもうなくなる―
みんながひとつになる幸せな日は、
妄想、夢想、おとぎばなしみたいなもので、
やって来そうにもないって。
わたしたちみんな、議論することにおいては専門家で、
わたしたちみんな、みごとに他人のせいにする。
わたしたちみんなが、
どういう世界がすばらしい世界なのかしっているのに。
もしかしたら、
私は幼稚で世間のことなど何も知らない少女かもしれない。
でも、私は、祈りたい。
平和と安全を。そうすることは、いきすぎなの?
旧市街―エルサレムの道々を
安心して歩き続けたいと夢見るのは、いきすぎなの?
若い兵隊さんたちの母親が
お墓で泣くのを見たくないと願うのは、いきすぎなの?
わたしたちはみんな平和を望んでいる。
でも、とてつもなく大きな質問に答えは出ない。
どうやったら平和を創れるのかしら?
みんなは、平和のために
どれほどの犠牲を払えるのかしら?