夕凪の街 桜の国
「夕凪の街 桜の国」
こうの史代 作
双葉社 2004年

たった一発の原子爆弾は、十数万の人の生命を一瞬のうちに奪い去り、街を焼き尽くし、地球の上に地獄を造りだしました。わずか61年前のことです。
そして、生き残った人々も、傷跡に苦しみ、後遺症に苦しみ、差別や偏見に耐えなければなりませんでした。かつて、ある議員が議会の場で「被爆者は断種すべきだ」と堂々と発言したり、原爆病院を慰問に訪れた著名人が決して被爆者に触れようとしなかったなど、ヒバクシャを社会から隔離・分離しようとする動きはごく普通のことのかのように事実としてありました。
「夕凪の街 桜の国」は、「夕凪の街」「桜の国(一)」「桜の国(二)」の三篇からなります。
「夕凪の街」は原爆投下後から10年が経過した1955年の広島の町が舞台です。「桜の国(一)」は1987年、「桜の国(二)」は2004年の東京が舞台です。被爆後もかろうじて生き残った人々と、その子どもたちの苦しみ、不安、愛を描いています。根強く残る社会からの差別に、ぶつけるところがない悲しみを抱えながら、必死に生きる人の姿が描かれています。
何事もなく元気で生活していたある日、突然発症する原爆症の恐ろしさ。祖母が被爆者というだけで相手の親から結婚を断られる辛さ。そして、言いようのない不安の日々…
このコミックを読むと、私たちは戦争のことを原爆のことをあまりにも知らなさ過ぎていることに気がつきます。知らないことから差別や偏見が生まれます。差別を恐れて多くを語らないまま亡くなった被爆者も大勢いたことでしょう。
私たちは、いまどうすればいいのか。まず知ることから始めなければなりません。ぜひ多くの方に読んでほしいと思います。時代背景や当時の世相など、十分な考証と丹念に絵を描いている作者に心から敬服いたします。
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コメント
こんばんは!!こうのさんのマンガは私の宝物です。ポッポ
投稿 ポッポ | 2006年3月28日 (火) 18:30